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日本酒のリラックス効果

-日本酒に含まれる「吟醸香」を嗅ぐと、ヒトの心と体にリラックス効果(鎮静効果)をもたらす-
日本酒の吟醸香の主成分である「カプロン酸エチル」や「酢酸イソアミル」を嗅ぐとヒトの心と体にリラックス効果(鎮静効果)がもたらされることが、有効性評価試験で明らかになりました!
この研究は月桂冠株式会社の総合研究所が、筑波大大学院 矢田幸博教授の技術指導のもと実施したもので、世界初の成果だそうです。

被験者は30~40代の女性18人。りんごや洋梨のような華やかな香りの「カプロン酸エチル」とバナナやメロンのような甘い香りの「酢酸イソアミル」をエタノールに添加して行われました。
「カプロン酸エチル」や「酢酸イソアミル」の香りを嗅ぐ前後での感情の変化(多面的感情尺度の計測)と、気分の変化(VAS)を調査したところ、ストレス、欲求、抑うつ・不安、敵意、感情の高ぶり、および緊張感などの感情や心理状態が、「カプロン酸エチル」または、「酢酸イソアミル」を嗅ぐことで有意に低下することが分かりました。

また、自律神経活動により支配される眼球の筋肉によって起こる瞳孔が一過性に縮瞳(収縮)する反応「瞳孔対光反応」の縮瞳率からも、これら2つの香気成分には鎮静効果が認められています。
日本酒における吟醸香の存在が、高い嗜好性とあわせて、ヒトの心と体に高い鎮静効果をもたらしていることが証明されたのです!
(月桂冠リリース)

吟醸香はどこから

「日本酒は米から造られるお酒なのに、なぜフルーティで華やかな香りがするのでしょうか?」

主要な成分である「カプロン酸エチル」や「酢酸イソアミル」は、主に酵母が発酵過程で生成します。
吟醸系の日本酒造りでは、原料米は精米歩合60%以下(米の外側40%を磨き取り、中心部の60%を原料とする)で、突きハゼ型と呼ばれる麹を造ります。
精米歩合も高い香りが生まれる要素の一つで、お米を深く削って余分なたんぱく質や脂質を取り除くことにより酵母が香りを出しやすくしています。
(たんぱく質、脂質は雑味になったり酵母が香りを出す邪魔になる)

また「ハゼ」とは麹菌の繁殖具合のことでこの麹菌のつき方でお酒の香味が変わります。
お米の中心部まで菌糸を食い込ませた突きハゼ型の麹は糖化酵素を多く作り出すため酵母への糖の供給が多くなり香りがでやすくなります。
発酵は10℃以下の低温でゆっくりと時間をかけて行います。酵母を長時間、栄養の少ない低温環境に置いて(低温で糖化のスピードが遅くなるため)負荷をかけると、酵母はストレスを感じ高級アルコールを生成します。
生成した高級アルコールの中のイソアミルアルコールがさらに分解され、もろみ中の有機酸のひとつである酢酸と結合し、「酢酸イソアミル」などの香り成分(エステル)が生成されるのです。
最近では酵母の研究もすすみ、酢酸イソアミル高生産性酵母の育種や、リンゴ様の香りが特徴の「カプロン酸エチル」を大量に生産するカプロン酸エチル高生産性酵母の開発などにも成功しています。

おすすめ癒し系日本酒

酵母のストレスから生まれた香り成分が私たちにリラックス効果を与えてくれるとは、何ともシュールな話しですね。5月25日に緊急事態宣言が解除されましたが新型コロナウイルス感染の不安は消えていません。
今も感染対策は継続して行われ、生活に不自由を感じている方々も多いのではないでしょうか。

新型コロナウイルスにより世界が先の見えない状況下にある中、環境の急激な変化や様々な行動の自粛などにより気づかぬうちに私たちの身体は緊張を強いられているといわれます。
ちょっと疲れているかな、と感じたら日本酒を飲んでリラックスされてはいかがでしょうか。

「イソアミル系」のお酒

「カプロン酸系」のお酒